旅の二十六:「免震の家 その3」
今回は、以前よりレポートしている「免震の家」の続編です。
先日、真夏の暑い最中、尾形邸の免震装置の試験を行いました。
まだ、工事中なんですが、最近、地震が多くなっているので、少し早めですが、免震装置の固定金具をはずし、可動試験を行ったという次第です。
本来、免震装置の可動試験は、工事が全て完了してから行います。細かく言えば、お客様への引渡し時に所定の引渡し確認と共に免震装置の動作確認をして、引渡しとなります。
ただし、今回の工事の場合、基礎及び免震装置は分離発注でお客様と直接、免震メーカーと契約しているため、既に基礎と免震装置は引渡し済みとなっているわけです。
そういう経緯から、施主様の「なるべく早く免震の効力を活かしたい」とのたっての希望で、外部足場がはずれ、免震装置が可動しても建物への影響がなくなったこの時期に、固定金具をはずす事になりました。要するに免震装置の固定金具をはずすと、地震時に建物は地面と別の動きをして、建築中の家屋も安心、というわけです。
建物は、震度7で約20cm。前後、左右あわせると約40cm程度、横にスライドする事になります。
したがって、建物の周辺に足場が掛かっていたり、梯子などが置かれていると、地震時にぶつかってしまいます。建物の周辺に何も置かれてない完成時に試験を行うのは、こうした理由からです。
可動試験は、まず、床下にもぐり、免震装置の点検と固定金具の撤去から作業がはじまります。
あわせて建物周囲に梯子や物が置かれていないか確認し、可動確認の座標板をセットします。
可動試験には油圧ジャッキを2機使います。基礎と免震の鉄骨架台に左右バランスよく配置し、セットします。
これで準備完了。いよいよ、試験開始です。
座標点の0を確認し、左右のジャッキ2機で、掛け声と共に、同時に圧力をかけます。
少しすると、建物が徐々に動き出し、南へ4.5 移動した時点で加圧を停止しました。
免震装置の可動確認をし、再び油圧ジャッキを先ほどとは逆方向にセットし圧力をかけます。
建物が座標点の0に復帰したのを確認して試験は終了です。
これで免震装置の動作と効力も確認できました。
これからは周辺に物を置かないようにして、残りあとわずかとなった工事を無事完成させたいと思います。
次は、建物完成時にまた報告したいと思います。