旅の六十七:「養福寺本堂落慶法要!」
先日、養福寺本堂の落慶法要が行われました。
養福寺については、昨年の7月「旅の五十二」にて本堂新築工事の上棟式
までの様子をご紹介していますが、今回はその続編として、上棟式以降から
完成までの工事内容と落慶法要について報告したいと思います。
平成19年6月30日上棟式が行われた養福寺本堂新築工事は、その後も天気に恵まれ、順調に進められました。屋根の軒廻りが一般の建物より深いため、屋根が下がるのを防ぐ、桔木(はねぎ)と言う丸太を40本ほど入れる作業が
しばらく続き、その後、屋根の形を作る軒付(のきづけ)や野地(のじ)の所謂屋根下地も、無事、大まかにまとまりました。ここまで来ると工事もほぼ中間。大工さん達もホッと一息着いて板金屋さんの出番です。
板金屋さんは、大工さんがまとめた屋根下地に銅板を一枚ずつ葺き込んでいきます。軒付には細い銅板を5段に張り、屋根の隅の部分は蛤状に加工
した物を張ります。手作業で一枚一枚形に合わせて加工した物を張りますので大変な作業です。
屋根が終わった大工さんは、軸部の耐震壁の設置や造作の加工取付を
進めます。ここでは設備屋さんも並行して、屋根裏に換気ダクトの配管と
換気扇の取り付けを行いました。本堂は大勢の人が収容できるということ
から、内部の体積に合わせた換気扇の設置が必要なんです。
私はこうした作業が適切に行われるよう指示と確認をし、その傍ら屋根の
鬼板や懸魚(げぎょ)、花頭窓(かとうまど)などのデザイン図を作りました。
養福寺が再興された室町時代末期のイメージに合うようにデザインするのが、本来、私に託された仕事でもありますから、これは設計者冥利に尽きる
「楽しい作業」といえるかもしれません。
このようにして工事は順調に進み、施工業者選定入札から約2年後の7月に完成、役所の検査も合格し、引き渡しとなりました。
その後、お寺では落慶の準備が進められ、この10月25日、本山の建長寺
吉田老師をお招きし、盛大に落慶法要が執り行われる運びとなったわけです。
天気予報では雨が心配されたのですが、前日までに雨も上がり、過ごし
やすい曇り空のもとで、落慶法要は始まりました。近隣や法類の和尚さんが 30~40名参集しての大般若経転読は、まさに圧巻でした。
600冊もの大般若経を流し読む大般若経転読。荘厳な雰囲気の中、読経が
飛び交い、壇信徒の皆さんも神妙な面持ちで法要の進行を見つめて
いました。
そして、式も終盤、吉田老師のお祝いのご挨拶を頂き、ご本堂新築の苦労に対しての労いのお言葉に、私と同様、建設委員の皆さんも胸を熱くしたのではないでしょうか。少ない壇信徒の中でこれだけの大事業を遂行するには、
企画の段階から大変な事でした。それらの記憶が、一瞬のうちに走馬灯の
ように巡り、そんな大変な思いも、こうして立派な本堂が出来上がりますと、
ホッと肩をなでおろすようです。こうして、約1時間で法要は終了しました。
関係者の皆様、長い間お世話になりました。これからもよろしくお願い
致します。
これをお読みの皆さんにも、これから秋の紅葉シーズン、倉岳山、高畑山へ
ハイキングの折りにでも、この養福寺に立ち寄って、その姿をご覧頂ければ
幸いです。