旅の七十一:「重要文化財旧住友家俣野別邸焼失」
昨日のニュースで旧吉田茂邸の火災が報じられました。実は、先週の
日曜日にも、ちょうど一週間前ですが、やはり早朝に火事で重要文化財
旧住友家俣野別邸が全焼しています。いずれも火の気が無いので不審火と
みて、警察などで原因を調査中のようです。
また、旧住友家俣野別邸から約500mの藤沢市にある旧モーガン邸は
一昨年の5月と昨年の1月、2回もの放火と思われる火災で焼失しています。
旧モーガン邸は「旧モーガン邸を守る会」などが保存活動を行い、保存への
道筋がついた矢先の焼失で、御尽力された皆様はさぞかし残念だったと
思います。
私が、関ブロで発表した青年建築士協議会神奈川大会において、
旧モーガン邸を見学する予定だったのですが、その約1ヶ月前の5月12日に火災にあってしまい、見学会は中止となりました。火災後、仮屋根を付けるなど、修復工事が行われていたのですが、翌年の1月2日、再び放火で全焼
しました。
その他にも、奈良の石上神宮の出雲建雄神社拝殿は建具の一部を
焼くだけで免れたようですが、このところ歴史的建造物の火災が多く発生しているように感じられます。それらが、放火だとしたら、なぜ、そのようなことを
するのか非常に残念でなりません。
ましてや、先週、焼け落ちた重要文化財旧住友家俣野別邸は、昨年より
保存修理工事を行っており、私もついこの間、修理前の現状図面を作成する打合せで、現場を訪ねたばかりでした。現在進行中の工事現場でこのような
火災が起きてしまい、非常に驚きました。工事は半解体修理で、解体はほぼ終わり、部材の繕いをして、取付け組立作業を行っていたところなのです。
それらも今は灰となり、ほとんど何も残っていないようです。素屋根も熱で
曲がりくねり、崩れる危険性があるので、現場検証も手間取ってるようですが、プレハブの2階作業員休憩所の燃え方がひどく、失火の可能性も出てきた
ようで、今後どのような方向に進むのか皆目見当も付きませんが、いずれに
しても建物は全て灰と化してしまいましたので、もう戻りません。とっても残念
です。
火災は全てを無にしてしまいます。みなさんもくれぐれも火の用心に心がけ、財産と生命をお守りください。