建築旅日記
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旅の八十八:「保福寺本堂 軒廻り組立(その2)」
軒廻りの工事も大詰めを迎え、このところ工事を見学したい
との要望が増えています。基本的には、一般への見学は
実施していないのですが、地元の工務店の大工さんや
職人さん、大学生や社寺建築に興味のある方からのお問い
合わせがあり、私や施工者の都合が合えば案内をしています。先日は施工を担当している藤田社寺建設さんの取引先でも
ある、スーパーゼネコンの清水建設さんの社寺設計部関係者10数名の皆さんも見学に来られました。
そんな訳で、現段階が保福寺本堂新築工事の佳境とも言え
ますので、今回も、軒廻りの報告をさせていただきます。
前回の報告時点では、茅負を取り付けた状態でしたが、
その後、裏甲(うらごう)を取付けて化粧裏板を張りました。
そして、桔木(はねぎ:深い軒を支えるためにテコの原理で
木材を小屋の内側から軒先に持ち出し、茅負や化粧垂木と
接合し、軒が重み等によって下がるのを防ぐ部材)の組立は、近世以降多用されている化粧垂木に金物を取り付けて吊る
手法ではなく、茅負にホゾを挿す中世の技法を取り入れて
います。文化財修理の経験から、化粧垂木を吊る手法だと
長い年月の経過とともに、垂木が折れる事例が非常に多い
ことが解っていますので、こうした設計としています。
そして現在は、軒付の加工組立を行っております。
また、後部には下屋が付きますので、その屋根の加工組立を並行して作業しています。
今後の予定としては、上棟式が10月10日に行われる予定
です。上棟式に向けて小屋の組立作業へと進み、建物の形が段々と現れてきます。近いうちに、月見ヶ池あたりからも屋根が見えて来るようになりますので、お近くの方は散歩がてら眺めて頂けたら幸いです。