2005/09/13 番外編 「アスベストについて」
最近アスベストが問題になっています。私が設計監理したお客様からも、「新築工事の時、壁に綿状のものを入れてたけどアスベストではないですか?」などの問い合わせが多く寄せられています。
そんな昨今、今回は不安を感じてるお客様に、私の知ってる限りの知識ですが、アスベストについてご説明したいと思います。
まず、アスベストとは、石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれる、天然の鉱物繊維で、石綿と言う様に綿状の繊維で、1本の繊維は髪の毛の5000分の1だったかな?とにかく非常に細く、熱にも強くてピアノ線より強靭なため「永遠不滅」と言う意味の言葉から名づけられたようです(アスベストに似た材料でロックウールがあります。こちらは岩綿(がんめん)と呼ばれ、人工的に作られた鉱物繊維です。繊維の太さはアスベストの約100倍だったと思います)。
アスベストは、綿状で熱に強いことから、主に耐火被覆や断熱材・防音材として使われると共に、石綿スレート等のアスベスト成形板としても使用されました。皆さんの身近な物では、中学生の頃、化学の実験で使った「石綿金網」もアスベストです。
以上のように、熱に強く安価なアスベストは、昭和30年頃から昭和50年頃まで、大量に使われました。耐火被覆や断熱材・防音材として使う場合は、鉄骨造の耐火被覆や壁・天井に断熱材・防音材として吹き付け、ダクトや配管材を覆う場合には、布団状や板状の物を巻くなどしています。
石綿スレート等は不燃材として、波型状の物が工場や車庫などの屋根や壁に使われ、また大平板(オオヒラバン)と呼ばれた平板状の物、あるいはセメントサイディング(外壁材)、カラーベストやフルベスト(屋根材)なども多用されました。
昭和40年代後半から肺癌など健康被害の危険性が指摘され、昭和50年頃、吹付けアスベストは禁止となり、吹付けロックウールに替わってきました。ただし、その吹付けロックウールも、昭和60年頃まではアスベストが含有されてたようです。
布団状や板状の物も同様に推移したようですが、石綿スレート等は最近までアスベストが含有されていました。
以上がアスベストの基礎知識です。これから皆さんの住宅などでアスベストが使われている可能性について説明します。
1) 昭和50年以前の建物の場合:
RC(鉄筋コンクリート)造の天井・壁などの吹付け断熱材(吹付けアスベスト)や、鉄骨造の柱・梁・床・壁などの耐火被覆、ダクトや配管の保温材。石綿スレート類、これらにはアスベストが使われていると思います。また、吹付け断熱材、吹付け耐火被覆材、保温材はセメント等の含有率が少ないので、経年劣化で飛散しやすくなっています。早急に対策を講ずる必要があると思います。
2) 昭和50年以降の昭和時代の建物の場合:
上記の吹付け断熱材・吹付け耐火被覆はロックウールと思われますが、アスベストが含有されてる可能性もあります。耐火被覆板、ダクトや配管の保温材、石綿スレート類はアスベストが使われていると思います。したがって、吹付け断熱材・吹付け耐火被覆のアスベスト含有率が気になる方は、検査機関で分析し対策を講ずる必要があると思います。
3) 平成以降の建物:
上記と同様ですが、ロックウールにはアスベストが含有されていないと思われます。したがって特に心配ないと思います。しかし、石綿スレート等は最近までアスベストが含有されていました。セメント等と固形化した材なので、通常は飛散しませんが、建物の解体時やリフォームの際、割れたり切断したりすると飛散する恐れがありますので、注意が必要です。
最後に私が設計監理した建物には基本的にアスベストは使用していません。鉄骨造の耐火被覆には吹付けロックウール。耐火被覆板はALC(軽量気泡コンクリート)板を使っています。また、吹付け断熱材には発砲ウレタンを、住宅の壁・天井の断熱材にはグラスウールを使用しています。最初のお客様からの質問がこれです。壁に入れた綿状の物はこのグラスウール。グラスウールはガラス繊維で作られていますから安全です。
このように、私の場合は、アスベストは使っていません。しかし、スレート板類には多かれ少なかれ、アスベストが含有されています。それでも、私は石綿と名の付くのは極力避け軒裏や車庫の壁など不燃材が要求される所には石綿セメント板ではなく、ケイカル板を意識して使いました。ただ、カラーベスト(屋根材)と防火サイディング(外壁材)にアスベストが含有されています。ただし、これは先程も申しましたが、セメント等と固形化した材なので、通常は飛散しません。ご安心してください。しかし、今後、リフォームをする時には十分注意して頂きたいと思います。
以上、番外編として記してみました。これ以外にもご不安などある方は、メールにてお気軽にお問い合わせください。