旅の九十二:「おかしの家づくり/和見分校」
先日、今年度で休校となる上野原市立甲東小学校和見分校で、最後の分校秋祭りが行われました。
二年前には、山梨県建築士会青年部の折り紙建築(旅の六十九で紹介しま
した)の指導で訪れ、昨年は、同じく段ボールハウスの指導。そして、今年は、おかしの家づくり&まちづくりの指導で12月4日に訪ねました。
この分校秋祭りと建築士会の繋がりは、我々建築士会のメンバーが和見
地区に住んでおり、子供さんが分校に通っている関係からです。授業参観と
学習発表が終わった後の地域交流イベントとして、折り紙建築を通して建築に親しんで頂こうというコンセプトで企画したのが二年前でした。そして、折り紙
建築は大成功し、昨年は段ボールで思い思いの家を造る段ボールハウス
作り。子供たちがそれぞれ、自分がすっぽりと入れる位の大きさの個性的な
家を作り、大喜びのうちに終了しました。そして、最後の分校秋祭り。我々も
この2年間を思い出しながら、子供たちの成長ぶりに驚きつつ、おかしの家
づくりはスタートしました。
私は午後、和見分校に入りました。既に午前の部の学習発表は終了して
おり、子供たちがお昼ご飯を食べてる間に、我々は準備開始です。ホールに机を並べ、おかしの家の材料となるカステラやウエハースなどを分配し、
接着剤として使う生クリームを混ぜたり、おかしの家を建てる敷地の紙を
切ったりと、結構大忙しでした。
そして、いよいよおかしの家づくり&まちづくりスタートです。先生に建築士会のメンバーを紹介していただき、建築やおかしの家づくりの作業手順等に
ついて、メンバーの代表が説明しました。
作業はまず、おかしの家の図面作成から始まります。一定の敷地の紙の
上に、家を建てる位置や庭、ガレージなどをレイアウトします。さらに平面図に玄関やキッチン、窓などを描きます。そして、立面図に屋根の形や、窓などをデザインして図面が完成します。子供たちはこの図面を建築士会メンバーの「役所」で審査してもらい、特徴や工夫した点などを説明して、合格すると
お菓子の建材をもらって、建築作業に入ります。一般の家を建てるのと
同じような手続きをしてもらったわけですが、図面を見ると子供たち
一人一人が個性的で、家の中に車を入れるスペースを大きく取り、いつも車を見ながら暮らせるうえ、外にもガレージがある車好きの家だとか、ほとんどの子が平屋なのに(図面には参考に平屋のアウトラインを点線で書いてあり
ます)2階建ての家を「設計」した子もいました。
建築作業は、本体のベースになるカステラを組立て、屋根をウエハースや
ビスケットで作っていました。お父さんやお母さんに手伝ってもらいながらの
作業は結構大変そうでしたが、でも、出来上がった形はどれもメルヘンチックだったり、夢のある楽しいものばかり。例の2階建ての家も大屋根造りで
見事に「2階建て」となっていました。
完成したら、今度は「検査」です。図面と見比べて、ちょっと変更したり、
違ってるところもありましたが、みんなすごく良く出来上がっていました。
検査済証を渡して写真撮影。建築士会メンバーも作ったのですが、出来は良くてもリアルすぎて、子供たちのように夢のある作品ではなかったですね!
そして、最後に作品を集めて、ひとつの街とし、おかしの家とおかしのまち
づくりは完成しました。作品を前に子供たちが感想などを発表して分校秋
祭りは終了となりました。
分校が休校となるのはちょっとさびしいのですが、この2年間に知り合った子供たちと、また、どこかで、いつの日かお会いできるのを楽しみにしたいと思い
ます。きっと、いや、絶対いい子に育ち、そして、社会を担ってくれる大人に
成長してくれるだろうなと思える子供たちでした。