旅の二十八:「免震の家 完成!」
以前よりレポートしていました「免震の家」が先日、完成しました。
昨年の9月に杭工事に着手してから1年と2ヶ月。その間には、新潟中越地震、スマトラ沖地震が発生し、大きな被害をもたらせました。そんな関係もあってか、この免震構造の住宅は反響も大きく、多くの人が抱いてる地震への危機感を実感させられました。
では、写真をご覧ください。
まずは外部です。屋根は入母屋造り日本瓦葺きで庇部分を銅板葺きとし、重厚さの中に柔らかさを持たせました。外壁は腰部が杉板の簓子下見張りで、上部が漆喰塗りとしています。
外部で最も苦労したのが、基礎部。免震構造の場合、基礎の上に鉄骨架台を載せ、さらに床下地を組むため、地盤からの床高が高くなります。そこで一般的には、基礎の立ち上がりを10cm程度にし、鉄骨架台部分も基礎と同一に見えるような仕上りのデザインとします。
しかし、私は、基礎の立ち上がりが10cmでは、どうしても納得いかず、通常の30cmにしました。なぜなら、基礎は建物全体の荷重を地盤に伝えるもの。基礎の立ち上がりが低いと通気性が悪くなり、さらには集中豪雨によって床下浸水が生じたり、そこまでいかなくても、夕立とかの激しい雨の跳ね上げにより、土台や床組などの構造体が腐りやすくなるのです。ただ、鉄骨架台部分を基礎状にすると、基礎高の無骨なイメージになってしまいそうなので、外壁と同じ簓子下見で仕上げました。鉄骨部分の下地や玄関ポーチの納まりなどいろんな面で苦労しましたが、苦労の甲斐あって良くなったと思います。
次に内部。内部は玄関ホールから座敷にかけて床が欅の無垢板張り、天井は格天井。ここが一番の見せ所となるのですが、それだけに大工さんは大変そうでした。
そして、リビング・応接間・ダイニングキッチン、それに居間。これらの部屋は、それぞれ間仕切りも出来るし、ワンフロア-にもなる空間。季節や用途に応じたバリエーションで使っていただけます。
次に座敷。床の間の床柱は、杉絞り丸太。床板や書院は欅無垢板。天井も杉無垢板の竿縁稲子天井。お茶会も出来るように炉を切り、広縁には水屋を設けています。
企画・設計から完成まで足掛4年。随分と長い間拘わってきました。その間、思い起こせばいろんな紆余曲折がありましたが、なんとか完成までたどり着きました。思い起こせば、これが、私の自宅造りの前から取り組んできた仕事。そうだ、施主さんには、私の自宅発表会にも来て頂いたんだ!それだけ長い間拘わってきただけに、自宅とはまた別の感慨深さがあります。
職人さんにも隅々まで、丹精込めた仕事をしていただき、とっても良い建物ができました。施主様、ご家族様、この家をいつまでも、末永くよろしくお願いいたします。