旅の百三十七:「保福寺 鐘楼 修復工事」
随分ご無沙汰してしまいました。前回の更新より一年半以上経過してしまい、その間、仕事や様々な活動で多忙な日々を送っていました。
いまだに多忙な日々は続いていますが、「保福寺鐘楼の修復工事も
終わりが見えて来たのにホームページで紹介しないの?」と、
このホームページを楽しみにしていた方々からお問い合わせもあり、
また、頑張りたいと思います。
そんな訳で今回は上野原市指定文化財保福寺鐘楼修復工事について報告いたします。
保福寺鐘楼の概要についてはこのホームページ『旅の百三十四:保福寺 山門・鐘楼 文化財指定』を参照してください。
予てより屋根材に発錆が目立ち、雨漏りや軒廻りなどの腐朽、袴腰の鉄板張り塗装に剥がれが認められることから、修復計画・実施設計を
進め、昨年の8月より工期1年間の予定で修復工事が行われました。
2017.8
●素屋根工事着手
●素屋根完成後、屋根材(鉄板)解体 野地板の調査
屋根材を解体したところ野地板の腐朽はそれほどではありません
でしたが、軒付廻りの腐朽が著しかったです。
2017.9
●野地板の解体 小屋組の調査
●縁及び袴腰の鉄板張り解体・調査
解体された野地板から昭和二十八年葺き替えの墨書などが
発見されました。
2017.10
●野垂木及び縁・袴腰の解体・調査
地覆の不陸調査により不同沈下が認められ、鉛板による不陸調整を
行いました。
2017.11
●小屋梁材等の腐朽部分撤去及び補強・繕い
●軒廻りの解体・調査
化粧垂木にクマバチの巣が予想以上に多く、茅負・木負、
飛檐・地垂木の全てを解体し取替え補修を行いました。
2017.12
●1層軸部の台輪下盤木及び筋違い補強
台輪下盤木は、欅材で恐らく当初から材料の質が悪く、
腐朽が少しずつ進んでいたものと考えられますが、
近年に階段等の工事が行われた際に腐朽部分を隠すように
板材で塞がれていました。今回は板材を撤去し構造上問題の
無いよう良質欅の大材で剥ぎ木補強し、ステンレスボルトで
固定しました。
2018.1~3
●軒廻り補修工事
隅木・化粧垂木・木負・茅負・化粧裏板などの軒廻り部材の取替材の
加工、再用材の繕い等を施し、合わせて小屋組の調整や桔木補強を
行い、解体材を取り付ける組立工事を行いました。
2018.4~5
●袴腰地覆石補修工事
●軒廻り補修工事
袴腰地覆石が変形しており、出入口の形状変更もある事から一旦
取外して補修工事を行いました。
軒廻りは引き続き化粧裏板・裏甲・軒付材の加工・繕い、
桔木補強など小屋組の調整を行い、母屋や野垂木の組立に
入りました。
2018.6
●屋根工事
●袴腰組立工事
修復工事も大詰めとなり、野地板張りを進めながら箕の甲や箱棟の
組立、そして銅板葺き込みを行いました。
袴腰も下地組立、鎧下見板張りなどを行い、建物全体が整いつつ
あります。
2018.7
●天井板張り替え
●階段加工取付
●袴腰組立工事
天井板張り・階段加工組立・袴腰鎧下見板張りを行い、完成間近です。
2018.8
●鬼板取付・階段加工取付・袴腰組立工事
鬼板を取付け、最後の階段の組立を終了し、素屋根を解体して
1年間の工事は完了しました。
以上が修復工事のあらましです。
機会がありましたら、ぜひお訪ねください。