2005/05/02 我が家の木材について
ゴールデンウィーク真只中、皆様は如何お過ごしでしょう?今年は天気も良く楽しんでおられることと思います。私はと言えば仕事に追われまだ休めませんが、後半は仲間とのツーリングや家族との団欒もしたいなと思っております。
さて今回は、我が家の「木」について書きたいと思います。
と言いますのは、来客したお客さんから時々「柱とか梁とか見せてるんですね。何の木ですか?」「梁って言うんですか、割れてるけど大丈夫なんですか?設計士さんの家だから大丈夫なんでしょうが…」等々、質問を受けることがあるんですね。そこで今回は、私の知っている事や考え方を説明しようと思います。
まず、構造部材について。
土台は、桧を使っています。土台はまさに家の土台。家の重さを支える部材ですから地面に近く、湿気などから腐朽や蟻害を防止する為、蟻の嫌いな匂い(ヒノキチオール)のする桧にしました。ヒバにもヒノキチオールは多く含まれていますが、市場では米ヒバが殆んどです。米ヒバは大木なので芯持ち材は少なく、私は芯持ち材を使いたかったので、木曽桧にしました(芯のある材は無い材に比べ強度や腐朽にも強いと思います)。今は防腐土台と言う薬剤に漬け込んだ材を多く使っていますが、薬品漬けの木はどうなんでしょうか?また、昔は栗を多く使いました。栗は腐朽には非常に強く枕木に使われていた事でも解かります。しかし、市場にはあまり出ていないと思います。柱も桧を使っています。杉や栂(ツガ)も良く使われますが、杉は木目も素直で柔らかくとってもいい木なんですが強度が弱く、どちらかと言えば造作材向きかなと思います。大雪の時、山で木が折れているのを見かけます。杉が結構多いんですね。桧は雪の重みでかなりしなりますがなかなか折れませんよ!柱も折れたら困りますから。梁は松を使っています。我が家は県内産の赤松ですが、今多いのは、やはり米松だと思います。国産の松は曲がり物が多く、角材を使用している現在は、北米産の真直ぐに伸びた(桧や杉と同様な樹形)米松が適しているんだと思います。松は曲げの力に対して強く、梁に適しています。海岸沿いの防風林で風を受けて曲がって立っている松林を見ても解かると思います。この様に、垂直に立てて使う木(柱・間柱・束など)は、真直ぐに伸びた木で、しかも座屈に強い木が良く、横架材に使う木(梁・桁・母屋・垂木・大引き・根太など)は、曲げに強い木が良いです。芯持ち材は、強度的には強いですが、乾燥による伸縮などでひび割れがします。柱は背割れを入れ、伸縮の調整をし、他の面にひび割れが出ないようにします。柱などの鉛直荷重を受ける材は背割れを入れても特に問題ありませんが、梁などの横架材では、強度が落ちるため入れられません。したがって、ひび割れがでます。これが梁の「割れ」として質問される部分です。しかし、強度的には問題なく、美観上の問題だけです。それが嫌な施主様も多いようですが、私は自然の無垢材の証だと思うのです。風情も出ますし。
次に造作材について。
造作材とは内装など見えてくる部分の材料です。したがって、特に何が良いとかは無く、それぞれの好みに応じて材種も決まってくると思います。我が家では、敷居・鴨居、廻り縁、幅木などに桧を使いました。これは、全ての柱が見えているので、その桧の柱に合わせるためです。一般的には敷居、幅木などの足元で傷つき易い部分に桧。鴨居や長押、廻り縁などの上部には杉が使われています。床材はチークです。床は当然歩きますので、固い広葉樹が使われます。こちらも好みでオークだったり、桜、花梨など様々です。材の色や木目の好き好きで選びます。しかし、和風の縁甲板では、桧や松、栂など、柾目のすっきりとした美しさから針葉樹を使います。
最近では造作材は、こういった自然そのままの無垢材より、集成材などの張物の方が主流かもしれません。ただ、自然の無垢材は、歳月と共に色合いなど、経年変化が味わい深くなって来ますが、張物だと傷などからはがれたり、色あせたり、自然素材との質感の違いは歴然として来ると思います。
建てた家には、二十年、三十年と言わず、いつまでも住み続けて欲しいと思う私は、無垢材を使って大工さんに丹精こめて造って頂き、世代を越えて愛着をもって頂けたら良いな!と思っています。