「保福寺本堂 床板張り・建具」
夏休みが始まり、育成会行事がたてこみ、毎日、ラジオ体操など忙しく更新が遅れてしまいましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
保福寺本堂は、左官工事が終了し、床板張り、建具の建て込み中で、いよいよ工事も最終段階となりました。
本堂の床は、ほとんどが畳ですが、内陣と後堂が板張りで、開山堂が毛氈敷きとなります。内陣と後堂の床板には、吉野松を使っています。吉野松は正式には栂椹(とがさわら)と言い、奈良県の吉野地方の高山に自生している樹木で、その地名と松に似た材質から吉野松と通称されています。材の木目は椹に似ていて、高山に植生しているため目の詰んだ綺麗な木材で、幅の広い板でも割れや狂いの少ない銘木です。また、自生している山が国有林で、現在は伐採していないので殆ど流通していない、希少材でもあります。そんな吉野松の2尺幅もある板の裏面に反り防止の吸付き桟と言う蟻桟を付けて張っています。床の間廻りは、地板に3尺幅のチーク板、脇床の地板や地袋天板などもチーク材の造作材で作りました。開山堂では、壇の部分に漆塗りをしています。建て方の前に、工場で漆塗りを施してから建てたのですが、補修と最終的な仕上げ塗りを今回行いました。壁と天井は和紙で下地を作り、金箔を貼っています。この壇には、ご開山様の像と歴代住職の位牌が置かれる予定で、黒の漆と金箔で彩られた荘厳な雰囲気にしたいと思っています。また、壇の周囲の位牌棚は、総吉野桧造りで、檀信徒さんの位牌を納めさせていただきます。建具は全て木製で、開山堂の総吉野桧造り部分は建具も吉野桧で、それ以外はチーク材としています。住宅の雨戸にあたる舞良戸やガラス戸、障子を建て込んでいます。建具が入れば内部への風雨を防げますので、外部開口部のシートも外すことができ、なお一層、本堂の雄姿が窺えることと思います。
着工からもう少しで3年が経過し、いよいよ完成が見えてきました。近いうちに仮囲いも撤去する予定です。近くにお越しの折りに立ち寄っていただけたら幸いです。