旅の十四:「厳島神社/宮島」
今年は台風の上陸が多く、各地で被害をもたらしました。
広島県宮島の厳島神社でも台風18号の猛威により、社殿の左楽房が倒壊するなど大被害をこうむりました。
厳島神社は皆様もご存知のように、海の上に建てられた神社です。
そのため、これまでに数え切れないほど天災による被害を受けながらも修復され、今日まであの素晴らしい建物を維持してきました。
今回は、その一日も早い復興を祈念して、厳島神社をご紹介したいと思います。
私が彼の地を訪ねたのは、約20年前の今頃のことでした。
宮島口よりフェリーに乗り宮島へ向いながら、甲板で潮風にあたり宮島を眺めていると遠くに鳥居や千畳閣、五重塔が見えてきました。だんだん近づくと鳥居越しに厳島神社が!
そこは正に竜宮城。海に浮かぶ寝殿造りは華麗で、絶景です。
宮島は太古の時代より島自体が神の島として崇められ、厳島神社は推古元年(593)に創建されたと伝えられています。ご神体である島の上に建物を建てることをはばかり浅瀬に建てられ、平安時代の仁安3年(1168)平清盛によって社殿が造営されました。
その後、火災や台風による被害が何度もあったようですが、その都度、修復が行われ、現在の社殿は本社の幣殿・拝殿・祓殿などが鎌倉時代の仁治2年(1241)。本社の本殿が室町時代の元亀2年(1571)の建立によるものです。
しかし、構造形式・建築様式など随所に平安時代の特色を良く残しています。
満潮時に、海に浮かぶようにみたてた寝殿造りも、平安時代の浄土信仰により極楽浄土を現したものだと思います。
厳島神社の社殿は本社の本殿・幣殿・拝殿・祓殿、そして平舞台・高舞台を経て楽房・間客(かどまろうど)神社本殿・火焼前(ひたさき)が最先端に配されています。
本社の東側には客(まろうど)神社本殿他が、西側には大国神社や能舞台などがあり、それぞれを回廊で繋いでいます。このように二十数棟にも及ぶ建物で構成されているのが寝殿造りの厳島神社です。
今回、被害を受けたのは、左楽房の倒壊を始め、屋根や床などの破損は12棟にも及ぶと聞いております。
これまでに楽房や間客神社本殿・火焼前は何度も台風の被害を受けています。
その度、危険にさらされながら建物を守っていくのは、とても大変な事だし、これから修復など災害復旧に向けて大変な日々が続くと思います。
関係者の方々のご苦労は察しつつも、一日も早い、元の華麗な社殿の復興を願ってやみません。