建築旅日記
建築旅日記
旅の九十六:「保福寺本堂 内部」
保福寺では、河津桜がほころび始め、少しずつ春が近づいて
るんだなと感じる今日この頃です。
保福寺本堂新築工事は、屋根の工事が終了し、現在は内部の天井を張っています。大間と内陣の天井は折上格天井として
いるのですが、天井を組む前に天井桁を受ける斗きょうを組み
立てます。この斗きょうには実は設計上の苦心がありました。
大間の四天柱をご住職さんたってのご希望により2尺の丸柱にしたのですが、他は1.5尺の丸柱ですから当然太さの違いが
生じ、2尺と1.5尺の柱では斗きょうの木割が合わなくなります。
いろんな方法を考えた最終結論として、斗きょうは柱に肘木を
挿す大仏様式の挿肘木の手法を取り入れて設計をしました。
それが今まさに、柱に肘木が少しずつ刺さり斗きょうが組み
あがってきています。ご住職さんから、すごいね!こんな風に
なるとは想像もしていなかったと、驚嘆とお褒めの言葉を
いただきました。大変な試行錯誤のなかで設計したものが
住職様をはじめ檀信徒の皆さんに喜んで頂けて、結果的には良かったなと思います。
工事は、この後もしばらく天井の組立が続きます。本来なら、
もう耐震壁の構造用合板張りをしなければならないのですが、先日の東日本大震災の影響で合板が入手出来ない状況が
続いています。ちょっと工事にも影響が出てきそうですが、
頑張って進めて行きたいと思います。
だんだん暖かくなって来ましたので、散歩のついでに河津桜を眺めがてら、立ち寄って頂けたら幸いです。