番外編:2003年10月 「私の最近日々の旅」
「月日は百代の過客にして行き交う年もまた旅人なり」。というわけで、私の日常も「旅」と考え、今回は前回の旅日記で『空き店舗対策でたこ焼きを焼いています!』と触れた、その事について書きたいと思います。
私たち建築士は、建築のプロとして多かれ少なかれ街づくりにかかわっています。私自身、事務所開設時より、地元上野原町のまちづくり審議会や都市計画審議会などに積極的に参加してきました。最近の活動では上野原町庁舎等建設審議会、上野原町都市計画マスタープラン住民懇話会、上野原町たのしい街づくり研究会などへの参加があります。「たこ焼き屋」は実は、その中のたのしい街づくり研究会(街研)での活動のひとつ。これは商店街のいわゆる「シャッター店舗対策」、つまり、店じまいしてシャッターが閉まりっぱなしになっている空き店舗を、うまく活用して商店街自体を元気にできないか、という対策の一環なのです。
「街研」は中心市街地の商店主と近隣住民によって構成されており、商店の仕事が終る夜8時頃集まりいろんなこと話し合い実践している、いわゆるNPOに近い団体です。たとえば、商店街に古くから残る横丁名を標示塔で復活させたり、商店街のマップを作ったり・・・。そんな中の一大イベントとして、空き店舗を活用した、たこ焼屋の実証実験店舗を9月29日にオープンしました。狙いは、アンケートによってこの町の商圏や消費者動向を調査することや、こうした店を実際に経営してみせることで若い人に商店運営へのチャレンジをアピールしたり、さらには既存の商店への刺激剤となりうるような企画をデモンストレーションしたりなど、いろいろあります。つまり『商店街の活性化』ということです。
このオープンに先立っては、私たちメンバーの中の4人が大阪に日帰りでたこ焼研修に行ったり、店舗の準備や保健所の許可、パートさんの確保など、今まで体験したことのないことをたくさんやりました。お店一軒オープンさせるだけでもいろいろやる事があり、さらにオープンしてからも、商業に慣れていない私などは、たこ焼屋とは言え、お店をやって行くと言うことは大変な事だな、と実感しているところです。でも、こうした経験は、街づくりを考えるうえではもちろんのこと、広く世間を見ることで、必ず自分の建築の仕事にも、役立ってくれると思っています。
この「たこ焼き屋」(タコリン、という名前の大阪の店のフランチャイズ店です)、メンバーそれぞれ、自分の仕事をしながらの活動なのでみんな大変なのですが、私たちのこうした活動に共鳴してくださる方も徐々に出てきています。これが波紋となって少しずつでも商店街に人が戻ってきてくれて、新に商売を起す若者が現れてくれたらいいな、なんて、たこ焼をくるくる回しながら思っている今日この頃です。もし、皆さん、上野原に来ることがあったらぜひのぞいて見てください。場所は国道20号、日大明誠高校入り口、という信号の脇です。