保福寺本堂
保福寺本堂
「保福寺本堂 軒廻り組立(その2)」
軒廻りの工事も大詰めを迎え、このところ工事を見学したいとの要望が増えています。基本的には、一般への見学は実施していないのですが、地元の工務店の大工さんや職人さん、大学生や社寺建築に興味のある方からのお問い合わせがあり、私や施工者の都合が合えば案内をしています。先日は施工を担当している藤田社寺建設さんの取引先でもある、スーパーゼネコンの清水建設さんの社寺設計部関係者10数名の皆さんも見学に来られました。そんな訳で、現段階が保福寺本堂新築工事の佳境とも言えますので、今回も、軒廻りの報告をさせていただきます。
前回の報告時点では、茅負を取り付けた状態でしたが、その後、裏甲(うらごう)を取付けて化粧裏板を張りました。そして、桔木(はねぎ:深い軒を支えるためにテコの原理で木材を小屋の内側から軒先に持ち出し、茅負や化粧垂木と接合し、軒が重み等によって下がるのを防ぐ部材)の組立は、近世以降多用されている化粧垂木に金物を取り付けて吊る手法ではなく、茅負にホゾを挿す中世の技法を取り入れています。文化財修理の経験から、化粧垂木を吊る手法だと長い年月の経過とともに、垂木が折れる事例が非常に多いことが解っていますので、こうした設計としています。そして現在は、軒付の加工組立を行っております。また、後部には下屋が付きますので、その屋根の加工組立を並行して作業しています。今後の予定としては、上棟式が10月10日に行われる予定です。上棟式に向けて小屋の組立作業へと進み、建物の形が段々と現れてきます。近いうちに、月見ヶ池あたりからも屋根が見えて来るようになりますので、お近くの方は散歩がてら眺めて頂けたら幸いです。